「モデル事務所を開いていて、今は雑誌も出しているの。知っているかしら?
ファッション雑誌[Queen]」

アリナは頷いた。

お金のないアリナには買うことはできなかったが、立ち読みをしたことはある。

「[Queen]の専属モデルになってみない?あなたならトップに立てるわ!」

興奮気味に社長は言った。

「ムリ・・です。あたし今日で死ぬから。」

消えてしまいそうな弱い声だった。
社長は驚きもせず、アリナを見た。

「それで、最後にオシャレしてみたの?」

アリナは黙っていた。

仕事柄、たくさんの少女に出会う。
「死ぬ」と言う言葉を平気で使う、少女も多い。

「タバコ吸ってもイイかしら?」

アリナはタバコが嫌いだった。
いつも部屋中にタバコの
煙が充満していて、吐き気がした。

でも、社長が吸うタバコの煙は空に消えた。

「ご両親は?」

急にアリナの目が見開いて、叫ぶように言った。

「アイツらは関係ない!」

「そう・・。」

社長はそれ以上何も聞いてこなかった。

アリナの表情で、すべて悟ったのかも知れない。