アリナはプロの世界に身を置いている人間。


仕事を休めば大勢の人に迷惑がかかる。

重い頭を必死に抑え、仕事にむかった。




こんな静かなスタジオは初めてだった。

いつもモデル達の笑い声や、スッタフ達との仕事の会話が飛び交っている。


腕時計を見ると5時を過ぎたところだった。


誰もいないのを分かっていて来たはずだったけれど、寂しさを感じた。




「アリナ・・。」

後ろから声がして、その声がミウだとすぐに分かった。

ミウの手にはもう、リストバンドはなかった。


「昨日ごめんね。変なモノ見せちゃって。

そんなに深く切ってるわけでもないから、かすり傷程度だし。

消えるまで待っててもらうよ。」

ミウは早口にしゃべり出した。