アリナはカギを開け、部屋に入った。

社長の部屋と同じで、まったく生活感がない。

社長の部屋はまだ、人の
空気みたいなものが漂っていた。

けれど・・

ここには、なにもない。

孤独がアリナを襲った。

そんなアリナを励ますように社長が、アリナの背中を軽く押した。

『そっか。あたしは一人じゃないんだ。』

玄関から、リビングまでの歩数を数えながら歩いた。

38歩。

『やっぱり広いな・・。前の家は10歩で着いたのに。』

アリナは玄関の方を振り返った。

ここから38歩、歩いていくと、

生きる世界が待っている。