「ねぇ、あれアリナじゃない?」
「マジ?本物じゃん!」

「あそこにいるの、Queenだよ!」
「ちょーキレイ!!」

女子高生たちがヒソヒソ話す先にいるのは、
トップモデル・アリナ。

10代、20代を中心としたファッション雑誌
[Queen]の専属モデル。

圧倒的な存在感。

輝く美しさ。

街中を歩くアリナに、誰もが視線を止める。

「あ、あの写メとってもイイですか・・?」

数人の女子高生が、アリナの前に立った。
彼女達の携帯を持つ手が、かすかに震えている。

薄く色のついた、サングラスを外した。

長い黒髪が、風に揺れる。
アリナ巻きと呼ばれる
巻き髪。

175センチから
見下ろす視線。

冷たい視線。

だけど・・

「花が咲いた・・・」

そこにいた誰もがそう思った。

笑った・・・

「いいよ!一緒にとろう♪」

近寄りがたい、雰囲気。
でも笑うと、その雰囲気は一瞬にして崩れる。

優しい空気が流れた。

アリナ、19歳。

撮影でアリナが笑うことは、ほとんどない。

いつもクールな表情。
時には冷酷な表情で、カメラマンを圧倒する。

でも、それがアリナの美しさを一層際立てた。

突然、気まぐれからか笑顔を見せることがある。
誰もがアリナの笑顔忘れかけた頃、
花が咲いたように笑う。

このギャップがアリナの「売り」だった。

その時の雑誌の売れ行きも、いつもの倍以上だった。
でも・・・

そんなトップモデル・アリナの過去は不明だった。

以前マスコミがアリナの、過去を調べようとしたが、失敗に終わった。

どんなに調べても、アリナの過去は出てこない。

まるで封印されているように・・

アリナはどんな、少女時代を過ごしていたのか?