大きな変化は見えない。

しかし、かつてのクラスメイトを目の前にして、何か心の変化が生じたのか。

虚空を見つめたまま、朝霧は小さく言葉を紡ぐ。

「ながせ…くん…」

「ああ、ここに…ここにいるぞ、朝霧!」

俺は彼女の手を握り締める。

微かに握り返すような反応。

心の時間が止まってしまったような彼女にも、確かな命の温もりが感じられる。

その事が嬉しかった。

だが直後、俺は朝霧の言葉に凍りつく事になる。





「にのみやさん…たすけてあげて…」