八戸は過去に何度もこうして篭城戦を経験し、警官隊に包囲された状況を見てきたのだろう。

だからこちらのマニュアル通りのやり方など、お見通しという訳だ。

俺が素直に交渉だけしに病院内に入ったとも思っていなかったし、現在の警官隊の呼びかけにも、応じているのは仲間の犯人だけだ。

八戸自身は、この病院内で沈黙を守りつつ、次の一手を考えているに違いない。

流石は国際テロリストというべきか。

世界中の情報機関を相手にしてきた彼女にとっては、日本の警察など赤子の手を捻るようなものなのかもしれない。