だが。

しばし目を閉じ、何とか冷静さを取り戻す。

ここで泣こうが喚こうが、誰の助けも借りられない。

この病院にいるのは、能面ヅラして俺を殺せるかつての同胞と、俺よりもか弱い人質のみ。

俺がどうにかするしかないのだ。

幾つもの覚悟をしなければならない。

いざとなれば己の身を捨てて人質を救出する覚悟。

任務達成の為に、犯人の命すら奪う覚悟。

そして、一度は俺の命を救ってくれた八戸を、必要とあらばこの手で殺める覚悟。

一時の迷いや苦悩で、数多くの犠牲者を出す訳にはいかない。

この状況を打開する為には、自分の手を汚す事すら厭わない覚悟が必要なのだ。