それはまさに突然だった。

八戸は一気に間合いを詰めてきて、俺に拳打を見舞う!

咄嗟にガードして拳を受け止める俺。

しかし反対側の脇腹に即座に膝蹴りを叩き込まれる!

俺は思わず体勢を崩す。

そこへ回し蹴り!

「がっ!」

またも床に薙ぎ倒される。

女の身でありながら、八戸は鋭く重い打撃を繰り出してきた。

倒れた俺に、容赦なく踏み付けを敢行!

床を転がり、それを避けた後、俺は距離を置いて立ち上がった。

八戸は身構える。

そして。

「おとなしく交渉(ネゴシエーション)だけしに来れば、生かして帰してやったのに」

何の抑揚もない、あの時と同じ声で呟いた。