蹴り飛ばされた拍子に銃を取り落としてしまった。

蹴られた腹の痛みに顔を歪めながら、俺は立ち上がる。

そんな俺の目の前に立っていたのは、小柄な女。

背中まで伸びた長い髪を赤く染め、あの時と違って体のラインがはっきりと出る、エナメル質の黒いボディースーツに身を包んでいる。

しかし、その能面のような無表情は、あの時と少しも変わる事がなかった。

「やはり…お前が絡んでいたか」

俺は静かに告げる。

「八戸…由岐…!」