朝霧だろうが、俺とは無縁の人間だろうが、人質は人質だ。

どんな人物だろうと平等に救出しなければならないし、任務に私情など挟んではならない。

友人だからと優先的に救出するなど、本来はもっての他だ。

六道さんならば、むしろ友人だからこそ心を鬼にして、後回しにするくらいの事はするだろう。

その点で、俺はまだまだ外事四課の人間としては未熟だった。

即座に朝霧の入院している病室をチェックする。

無事だろうか。

病状はどうなのだろうか。

犯人達に危害は加えられていないだろうか。

そんな事ばかりが頭をかすめる。

気がつくと、俺の足は朝霧の病室のある、305号室へと向かい始めていた。