途端に狼狽する犯人。

「な、何を!」

「この場で射殺する」

俺は銃の引き金に指をかける。

「て、てめぇ警察官だろうが!そう簡単に犯人を射殺していいと思ってんのか?」

「俺の任務は人質の安全確保だ。情報を聞き出せない犯人相手に、いつまでも時間を裂いている暇はない」

ゆっくりと、引き金に力を込める。

「…っっ…!」

犯人の眼がカッと見開かれる。

血走って、緊張の極限といった眼。

そして、あと1ミリも引き金を引き絞れば弾丸が発射されるという状況で。

「ま、待て!!」

彼は俺を制止した。

「何だ。時間稼ぎなら即座に撃つ。お前も篭城なんてしたんなら死ぬ覚悟くらい決めろ」

「いい、言う!言うから撃つな!撃たないでくれ!」