実を言うと、俺は六道さん以外の外事四課のメンバーには会った事がない。

公安部員の性質は一般的な警察官に比べて情報機関員に近く、業務の特殊性から顔・体格・素性・素振りなどを部外者に覚えられる事を嫌う。

これは一般人のみならず、同じ警察官も含む。

声を覚えられる事を警戒する公安部員もおり、部外者とは雑談さえも控えている者もいる。

一般市民が公安部員と接触する機会はまずない。

また、現職の警察官であっても、公安部員と合同で捜査や業務を行う事は非常に少ない。

その為公安部員については、たとえ同期の警察官であっても、詳細な所属先や業務内容が分からないと言われている。

六道さんでさえも、外事四課の全課員は把握しきれていないというのだ。

警察組織の中にあって、極めて特殊だと言えた。