もっと陽の当たる場所へ


私が口を閉じると、当然のごとく沈黙が訪れる。

部屋の空気もどことなく重く感じた。


暑さに耐えかねたふりをして扇風機のスイッチをいれると、首の回らない古惚けた扇風機はぶぅんと鈍い音を立てて部屋の空気をかき混ぜてくれた。


扇風機に煽られて肌を撫でつける温かな風は、夏の匂いがした……。



風鈴の音

蝉の鳴き声

遠くから聴こえる子供たちの笑い声

ラジオから流れる平和の唄


外を見上げれば、
真っ青な空に白線を伸ばす飛行機雲



それは、

とても平和な、夏の風景だった……。