「"お孫さん"だって…」
「誰だってそう思うだろうよ」
くすくす笑う私に壱さんは静かに言った。
壱さんのゆっくりとした歩幅に合わせるように、私もゆっくりと歩いた。
「嬉しいなぁ…
壱さんの家族に思われるなんて……」
「お前、俺の家族になりたいのか?」
壱さんにそう訊ねられて、私はまた笑った。
「私は壱さんの唯一になりたい」
孫でもいい。
友達でも、恋人でも、なんでもいい……。
壱さんにとって唯一無二の存在になりたい。
小さい頃からずっとそう思っていた。
……この気持の名前はわからない。わからないから、私はそれを恋と呼んでいるのだ。
「もしなれたら……
私、死んでもいいって思う」
その言葉に、壱さんがくくっと喉を震わせて笑った。
「馬鹿だな、お前は……」
「そんなことないよ」
私がそう答えると、壱さんは黙って空を見上げた。
私も一緒になって見上げてみた。
見えたのは、夕陽が沈み黒くなった空に浮かぶ無数の星と、白い月だった。
「月が綺麗だな」
壱さんは静かにそう口にした。
「そうだね」と返すと、壱さんはまた笑った。
「やっぱり馬鹿だな、お前は……」
もう一度呟かれたその言葉は、どこか優しかった。

