「……え?」


「マーダーさえ倒せば、どっちが味方かはっきりするんだ。それなら、まずはマーダーを倒させてくれって頼んでみる」


案外良いアイデアだ。それなら、ルカは猶予をくれるはずだ。


ただ、ルカは、俺を殺そうと躍起になっている。


そんなルカが、目の前にいる俺をノコノコとマーダーのところへなんて行かせてくれるかどうか……。


……ダメだ。考えても、いい方法は浮かばない。それしかないか。


「……よし。行こう」


ルイは決心すると、レーダーの黒い点に向かって歩き出した。拓馬も、それに続く。


「拓馬……一応言っておくが、その考えは、多分成り立たない。ルカが、俺を見つけて殺しにかからないのは有り得ない」


「お前とルカを接触させるのが危ないことくらいわかってるよ。それでも、俺一人だとマーダーには敵わねぇんだろ?だったら、そうするしか方法は無いじゃねぇか」


「……わかった。やるだけやってみようか」


そのとき、ルカの姿が見えてきた。


心臓が高鳴るルイ。拓馬も、強張っている。


ルイと拓馬はルカと5メートル程距離を取ると、立ち止まった。


ルカはこちらに向かって剣を構えて血相を変えている。


殺気に満ち溢れていた。