問題はそれだ。マーダーは今までのモンスターとは比べものにならないほど強い。


記憶が少ししかない拓馬が、倒せる相手ではない。


ルイと拓馬、それとルカが一斉攻撃を仕掛けても倒せるかどうか……。


どうしたらいいんだ。このまま進めば、ルカと接触する。


そうなれば、拓馬にとってルカは敵でも味方でもない。


俺一人で、ルカを何とかしなければならない。


しかも、拓馬が俺とルカの戦闘を黙って見ているとも思わない……邪魔してくるはずだ……。


やはり、拓馬だけに回り道させよう。そして俺は真っ直ぐ進み、ルカを倒す。


これなら拓馬はいないから、戦闘を邪魔される心配はない。ただ……。


ルカが相手だ。俺一人では、新しい魔法がないと確実に負ける……


でも、魔法は使うわけにはいかない。


この魔法は、マーダー用だ。ここでルカに使ってしまうと、もう撃てなくなってしまう。


そうなると、今度はマーダーが倒せない……。


再び腕のレーダーを確認するルイ。


黒い点は、その位置からピクリとも動かず、待機していた。


「マズイことになったな……」


弱音を吐くルイ。


今回ばかりは、どうしようもない。


拓馬が完全に信じてくれていたら、ルカを二人掛かりで倒せたかもしれないけど……。


そのとき、黙っていた拓馬がゆっくりと口を開いた。


「なぁ、ルイ。俺が、ルカと話してみるよ」