「で、君……名前は?」


「あ、藤原拓馬と言います」


「拓馬君か。俺は、竜太だ」


その言葉に、拓馬の心臓がドクンと音を立てる。


竜太?このおじさんも、竜太って言うのか?


「竜太さん。助けてくれて、ありがとうございます」


とりあえず、そう返す拓馬。


どういうことだ。こんな偶然って、あるのか。


もしかしたら、このおじさんが、今回のスケットキャラ?


スケットの名前が竜太で統一されているって可能性もある。


あのピンチの局面からタイミングよく助けてくれた。


この人は、ゲーム側が用意したスケットキャラなのかもしれない。


「で、どうしたんだ、一体?どういう状況なんだ?」


「えっと……」


その質問にはどう答えていいのかわからない。


もしもこの竜太がゲーム側に用意された人ではなく一般人だった場合、ゲームの世界のことなど、話しても到底信じてはくれないだろう。


第一、ゲームの世界のモンスターが飛び出してきている現実は、拓馬にも説明ができない。


「まぁ、言いたくなければ無理に言う必要はないよ。警察が来るまで、ゆっくりしていきなさい。この部屋、自分の家だと思って使っていいよ」


と、優しそうに笑う竜太。良い人だ。


今回の件が無事に片付いたら、また500万手に入る。そうなったら、お礼にご馳走くらいしよう。