「いや、違う。どっちを信じていいか、わかんねぇ」


「じゃあ、何でルイを逃がすのよ!」


「もう1章のときと……あのモノマネのときと、同じような後悔をしたくねぇんだ。どっちを信じていいのかわかんねぇから、どっちも信じるし、どっちも信じない」


「は?何よ、それ!」


「ルカ。ゴメンな」


「え?」


「もし、お前が本当のことを言ってるんだとしたら……俺が、命に代えてもルイを殺す」


違う、違うのよ、拓馬!今、ルイに逃げられたら、私がもう一度ルイに会えるかわからないの!せっかくのチャンスが……!


拓馬のように、呑気なことを言ってる場合ではない。


だけど、真実を口にはできない。


その苛立ちが爆発して、ルカは髪をクシャクシャにして叫んだ。


「どけ、拓馬!さもなければ、殺す!」


と、剣を抜くルカ。


「やってみろ」


拓馬も戦闘意志を見せる。


……大魔法使い、リーダー光魔法の拓馬。


少ししか記憶がないけど、1章では、不意を打ったとは言え、ルイに勝った。


もしかしたら、私が負けることも有り得る……。


ちくしょう……こんなことなら、魔法を教えるんじゃなかった……


記憶を消耗してくれるから、助かると思ったんだけど……。