「その女……ルカは、組織の人間だ。俺やお前と同じ、人造人間。組織に魂を売った人造人間だ」


そのルイの言葉に、唖然とルカを見る拓馬。


「何を言い出すのかと思えば……。騙されないで、拓馬!ルイは、またあなたを騙すつもりだよ!」


平然を装い、ルカが言った。


……最悪だ。ルイにとって、私はもう敵でしかない。


確かに私は、今は組織の人造人間。それは否定できない。


でも、違う!私は組織に魂を売ったわけじゃない!


「どうしたんだ、ルカ?歯なんかくいしばっちゃって。本当のことを言われて、動揺してるんだろ」


ルイがボソっと言う。


「違うわよ!拓馬、ルイの言うことを信じちゃだめよ!」


そのルカの言葉に、オロオロしている拓馬。


どっちを信じていいのかわからない様子だ。


……ちくしょう。言葉にしたい。全部、説明したい。


でも、私は組織に監視されてる。真実を口にするのは、組織への裏切り表明。


そんなことをすると、どうなるか……。


ルカが拓馬に気を取られていた、そのときだった。


ルイが、またしても全力で逃走する。


「しまった!待ちなさい、ルイ!」


と、追おうとするルカ。しかしその前に、拓馬が立ち憚る。


「……拓馬?ルイを信じるの?」


絶望だ。ここでさらに拓馬がルイの仲間に加われば、終わりだ。