現実RPG2

「で、何の用事だったんだ?」


突然のその竜太の言葉に、拓馬の心臓が鳴る。


「え、いや、あの……」


言葉を濁す拓馬。頭が真っ白で、適当な理由が何も思いつかない。


「ま、言いたくなければいいさ。ゆっくりしていきなさい」


と、笑顔で言う竜太。やはり、竜太は優しい味方を演じたままだ。ひとまず、助かった……


それより、気になることが一つある。この部屋、子ども用のおもちゃが転がってる……


どういうことだ?ルイの他にも、子どもがいるのか?


……あ、そうだ。竜太は今、拓馬の味方を演じているのだった。気になることは、聞いてもいいのではないか。


「竜太さん、子どもがいるんですか?」


と、恐る恐る問いかける拓馬。


「あぁ、二人な」


やはり、ルイの他にもう一人いるのか。


「上は22、下はまだ7歳だ」


ふーん。ルイは22歳なのか。


「随分離れてるんですね、年」


とりあえず、適当に相槌を打つ拓馬。


「あぁ。ちょっと色々あってね。下の子は、お母さんが別なんだ」


ふーん。ゲームの登場人物のわりには、そんな細かい設定までしてあるんだな。


「奥さんは、今は出掛けられてるんですか?」


「いや、死んだ。殺されたんだ」


暗い表情を見せる竜太。その表情に、なぜか拓馬の心臓が鳴った。