「くそっ!」


ルイは急いで鎧を着ると、剣を持って外へ飛び出した。


拓馬の走って行った方角へ猛ダッシュする。


「……」


左右を確認しながら走るが、拓馬の姿は見当たらない。


ヤバイ。俺の家の近くに居たってことは……オヤジを尋ねに来たのかもしれない。


それなのに、その家には俺が居た。


奴にとって、それが何を意味するのか。


今、奴の中で、オヤジへの疑心は確信へ変わっただろう。


オヤジは、敵。


マズイ……今、拓馬を見失うわけにはいかない。


がむしゃらに走るが、こんな探し方では見つからない。


かと言って、諦めて帰るわけにもいかない。


今見失ったら、再び会うのは難しい。


頼む……拓馬……一度でいい。


俺と、会話してみてくれ……


走り続けるルイ。しかし、拓馬は一向に姿を見せない。


家を出てから、住宅街を何時間も走って探した。


もう、どこか他の場所へ逃げてしまったのかもしれない。


気がつくと、朝日が登り始めていた。