「うっ……うっ……」


その体勢で、お腹の痛みを必死に耐える拓馬。


ダメだ、また血を吐きそうだ。意識が遠くなってきた。


ドン!


何をされたのかわからなかった。おそらく、押さえた手の上から、さらに腹部へ攻撃を仕掛けられた。


拓馬はその場に仰向けにバタリと倒れると、口から血を吹き出した。


「カハッ……」


ダメだ。殺される。そのときだった。


「クーン」


クロが、何か草を咥えながら、拓馬の元へ寄ってきた。


「クロ……」


この草。見覚えがある。


……薬草だ!


拓馬は残された最後の力を振り絞り、クロから薬草を受け取ると口に含んだ。


その瞬間、みるみるうちに体力が回復する。もちろん、痛みも薄れていく。


助かった……


いや、まだそう言うには早い。


拓馬は、静かに目を閉じ、息を止めた。ここは、死んだふりだ。これだけ血を吹き出した。死んだと判断されても、おかしくはない状況のはずだ。


「……」


ドキドキしながら、じっと目を閉じている拓馬。


頼む、行ってくれ……


しかし、ミイラ男は一向に動く気配がない。


目を閉じているからよくわからないが、去った足音はしていない。


おそらく、まだ拓馬のそばにいる。そのときだった。


ドン!


急に、再びミイラ男からの攻撃がきた。腹部への攻撃だ。


突然の衝撃に思わず咳き込みそうになったが、グッと堪えた。


気づかれたか……!