「どうしました?」


拓馬を一瞥し、そう返してくる警察官。


良かった……目が赤くない。モンスターじゃない。


さて……どう言えば信用してもらえるのか。


いきなりゲームのモンスターが飛び出してきたなんて、言えねぇからなぁ……


そうだ。ここでボーンが来るのを待つってのはどうだろう。


実際にガイコツが動いてるのを見れば、一発で信用してくれるかも……


いや、ボーンを待ってて、ルイが来たらどうする。こんな警察署、多分余裕で全滅する。


となると……やっぱり、国家の戦力を総動員してもらわないと困る。戦車でも持ってこないと、ルイは倒せない。


どうしたらいいんだ……


そうだ。


「無差別殺人者が、街をうろついてます!すでに100人くらいマシンガンを乱射して、殺したのを目撃しました!」


こう言えば、応援を呼ぶはずだ。


そんな危険な人物がウロウロしているとなれば、少なくとも万全の体勢を取ってくれるはず。


しかし警察官は表情を変えず、拓馬を凝視している。


しまった。嘘っぽいかな……


「本当です、信じてください!」


必死に訴える拓馬。


しかし警察官は、しらっとしたままだ。信用されてない。


「お願いします、助けてください!警察でしょう!」


そう叫んだときだった。


そういうことか。何を言っても無駄だ。


こいつ、瞬きしてない……


ゲームの登場人物……


「うわぁあああ!」


気が狂いそうになった。もう、頼れるものは何もない。


電話も通じず、警察もいない。無法地帯に、モンスターがいっぱい。オマケに、武器無し。ボスがルイ。


拓馬は、無意識にどこかへ走り出していた。