「ちくしょう……」


両手で腹を押さえ、蹲る拓馬。


痛いとか言うレベルの痛みではない。とても立てない。


「ゲホッ……」


咳と同時に、口から赤いモノが出た。


血……?


何だこれ。血を吹くって……内臓、破裂したんじゃねぇの?


ガシャ、ガシャと拓馬に寄ってくるボーンナイト。


その一歩一歩の足音に、拓馬の全身が痙攣したようにビクッと反応する。恐怖に支配されている。


「やめてくれ……頼むから……」


泣きながら懇願する拓馬。


それを見たボーンナイトは、剣を腰にしまいこんだ。


「おぉ……助けてくれるのか……?」


拓馬から笑みが漏れる。次の瞬間、ボーンナイトは拓馬の胸ぐらをつかみ上げた。


「え……ちょっと……何を……」


ドン!


再び拓馬の腹部へと蹴りをめり込むボーンナイト。


拓馬は再び吹っ飛ぶと、地面にうつ伏せに倒れた。


意識が遠くなる。視界が、真っ暗になってくる。


「痛い……痛いよぉ……」


まるで少女のようにすすり泣き、お腹を押さえて呟く拓馬。全身が恐怖で痙攣している。


「怖い……怖い……」


再びガシャ、ガシャと音を立てて近寄ってくるボーンナイト。


そのとき、思い出す。


「魔法……!」


拓馬は全身の力を込めてボーンナイトに手をかざすと、叫んだ。