ガシャ……


すぐ後ろ。拓馬のすぐ背後で、音がする。


「あ……あぁ……」


ガチガチと歯を鳴らしながら、拓馬はゆっくりと後ろを振り返った。


「あ……」


泣きたくなった。


そこには、ボーンナイトが立っている。


なんで……なんで、ボーッとしてんだ!なんで!


「うわぁああ!」


最悪だ。しかもよりによって、ボーンナイト。


ボーンならまだしも、こいつに背中を見せるわけにはいかない。


逃げる姿勢を取ると、確実に一発は切られる。


今は鎧がない。切られたら命がない。


つまり、戦うしかない。


「ハァ、ハァ……」


上手く呼吸ができない。どうしたらいいかわからない拓馬は、無意識に両方の拳を自分の顔の前に構え、ボクシングのようなスタイルを取っていた。


無駄だ。こんなことをしても、無駄。構えようが何しようが、殺される。


そんなことはわかっている。でも、死にたくない。何かしないと気が気ではなくなってしまう。そう思った、次の瞬間だった。


バン!


突然激しい衝撃が腹部を襲う。


拓馬は後ろに吹っ飛ぶと、バタリと倒れた。


「うっ……」


お腹が強烈に痛い。だが、切られた後はない。


多分、蹴られた……あえて剣で切らずに、蹴られた……遊ばれている。