現実ＲＰＧ２

「いえ、何でも」


と、出来る限り満面の笑みを作って返す拓馬。


それを見て安心したのか、竜太も再び微笑んだ。


それにしてもこの竜太、どこかで……見覚えのある感覚だ。


こんな顔は見たことはないが、この感覚……確かに、覚えがある。


何だ、一体……？


「何か、随分辛い経験をしたんだね。でも、この家に居るからには大丈夫！もうすぐ警察も来るし、安心して待ってなさい」


なるほど。モノマネか。


信用させて信用させて、信じきったところを裏切ってくる。


今回も前回同様、危ないところを助けてきた。前回は、ルカがバリアを張って守ってくれた。


命の恩人を演じることで、信用は最大に増幅する。


手法が、モノマネのときと全く一緒だ。この調子では、しばらく味方を演じてくる。


そして、今回のスケット…… まぁ今回もスケットがいるなら、そのスケットを俺の手で殺させるつもりだ。


そしてその後、本性を表す。つまりこいつの狙いは、俺ではなく、俺のスケット。


多分今回のスケットが、強力なのだろう。


拓馬は立ち上がると、カーテンの隙間から外を確認した。


もう、ボーンがいる気配はない。


「すみません。トイレをお借りしてもいいですか」


「あぁ、いいよ。玄関のすぐ横だ」


「ありがとうございます」


拓馬は立ち上がると、トイレに向かった。


幸い、トイレや玄関と竜太の位置は死角になっていた。


拓馬はトイレのドアを開けると同時に玄関のドアも開け、ゆっくりと外へ出た。