現実RPG2

「神様……神様……」


お経のように、ブツブツと唱えている拓馬。


何だ、この状況は。


ほんの数分前の勢いはどこへ行ったんだ。


マーダーを倒して、組織を倒すんじゃなかったのか。


このままでは、殺された両親が報われない……。


「俺は……俺は、諦めるわけにはいかねぇんだよ!」


ルイはそう叫ぶと、フラフラと必死に足を動かしてマーダーに切りかかった。


「おおおおぉおお!」


勢いよく剣を振るルイだが、全て空振り。


当たるわけがない。


「ボルガノン!」


ルイは火柱で、マーダーを囲むように覆った。


「拓馬!」


ルイの呼び掛けに、ハッとする拓馬。


拓馬は再び両手を掲げると、唱えた。


「ホーリーレイン!」


無数の雨が火柱の中を貫く。


しかし、マーダーにはなぜか当たらない。


「ブラックホール」


そのマーダーの言葉と同時に、火柱の一角が消えて無くなった。魔法を撃ってきた。


「ウフフ」


笑い声が聞こえたと思ったら、マーダーはいつの間にか拓馬の目の前に来ていた。


ザン!


マーダーの手のひらが、拓馬の腹部を貫いた。


「!」


貫いた手に、違和感を覚えるマーダー。