現実RPG2

ルイの叫びに、拓馬は間一髪で避けた。


黒い弾は拓馬の背後にある木に当たると、木は消滅してしまった。


その様子を見て、ガクガクと震え出す拓馬。


「ブラックホールは当たるモノ全てを飲み込む。絶対に触れるな!」


マーダーから目を反らさず、拓馬に言う。


視界の端に、拓馬の姿が映る……マズイ。


拓馬の奴、マーダーに恐怖している……。


「この魔法……ガクラの魔法だ……」


カチカチと歯音を立てて、震えた声で呟く拓馬。


ヤバイ……拓馬のあの様子は、ガクラと戦ってブラックホールを受けたようだ。


その後遺症……。


「おい、拓馬!集中しろ!」


だんだん苛立ってくるルイ。


拓馬の気持ちもわからなくはないが、ここで怯えている場合ではない。


恐怖は、負の力しか生まない。


このままでは、負ける。


何とかして、拓馬にマーダーの気を反らしてもらわないと……。


「馬鹿な子たちね」


ドクン。


そのマーダーの一声に、ルイの心臓が音を立てた。


マズイ。


今の心の声は、マーダーに聞こえているはず。


「私の気を、拓馬君に反らしたいの?」


微笑のまま言うマーダー。


やはり。これで、警戒されてしまった……くそっ!


だが、どういう魔法かわからない以上、マーダーは避ける術がない。


隙を見て、一気にケリをつける!


「残念だったわね。何をしても、あなたの魔法は当たらないわ」


その言葉に、目を大きく開くルイ。