現実RPG2

「コイツがマーダーだ!一旦逃げるぞ、ここは足場が悪い!」


ルイは剣を構えたまま、そそくさと後退した。


拓馬もマーダーに手のひらを向けたまま、急ぎ足でバックする。


「ウフフ」


マーダーは微笑すると、ルイと拓馬に少し距離を取りながらゆっくりとついてきた。


マーダーの余裕の表情。まるで危機感がない。


ルイと拓馬は中庭へ出ると、マーダーを見据えた。


マーダーも中庭へ到着すると、こちらを凝視した。


「お前……1人なのか?」


拓馬が震えた声でマーダーに聞いた。


「ええ。ここは私の家。久しぶりのお客様だから、嬉しいわ」


「ふざけんな、かかってこい!」


剣を強く握るルイ。モンスターの護衛、無しか……相当、実力に自信があるようだ。


「あらあら。せっかちな坊やね」


マーダーが言い終わると同時に、拓馬が専制攻撃を繰り出す。


手のひらを向け、ライトニングを放った。


フワッ……


マーダーは、驚くほど軽快に避けた。


まるで、風に靡いたタオルのようだった。


目を少しだけ細め、口に小さくスマイルを作っているマーダー。


本物だ……奴は、拓馬が魔法を撃つ前から……予知していやがった……!


「じゃあ、こっちも攻撃させてもらおうかしら。ブラックホール」


マーダーは黒い弾を手のひらから出すと、拓馬目掛けて勢いよく放った。


それを、両手でガードしようとする拓馬。


「よせ、拓馬!避けろ!」