や、やめ・・・。アレルギー反応が・・・。
 しかし海は、顔をしかめて嫌がっている私にギリギリまで近づくと、
 顎をつかんでくいっと持ち上げた。

 「い・・・いやあああっ!」
 これは、私を除く女子の悲鳴だ。あいかわらず鼓膜が破壊されそうなほどカン高いけど、気にしている余裕はない。
 「・・・な・・・っ、何を・・・」
 「あ、そーゆう顔ナシね。せっかく可愛いんだから♪」

 ・・・殺意。
 今すぐ、目の前にいる女ったらしの変態を殴り飛ばしたい。
 ・・・でも、不可能だった。
 力が強い。ハンパなく強い。拒めない。
 「・・・んっ・・・くっ・・・やめぇ・・・」
 「喘ぐ声も可愛いとみたな・・・」
 そう言うなり、海は。

 「・・・んっ」
 ―――いきなりキスしてきやがった。

 「・・・ふぇ??・・・え、えぇ―――っ!?」
 「・・・甘かったぜ」
 ペロッと舌を出して、笑う海。
 一瞬、頭がマヒして何も考えられなくなった。顔が熱い。汗かいてる。
 「な、な、なん・・・」
 「ははっ、初々しー。ひょっとして初めてだった?男の唇の感触」
 「くっ・・・くち・・・く・・・」
 分かりやすいな、って笑われた。こいつ、私の反応楽しんでる!!

 「名前は?」
 「早乙女・・・愛」
 「愛か。じゃ、俺、愛狙いでいきま――っす!」


 は・・・は?こいつ、今、何と・・・?

 「ギャアアァアァアア!!」

 海の言葉の意味を、3秒かけて理解し終わった後の衝撃と、女子の破壊的な悲鳴がダブルパンチで襲いかかる。

 ・・・私は気絶した。