高速を下りて暫くして、堤防沿いの道に出ると、今度は堤防を道もないのに斜めに下って川岸に車を停車させた。 「おいっ、今度は何だよ?」 またしても俺は、女に向かって怒声を上げていた。 「いちいちうるさいわねぇ、さっさと降りて。」 女はめんどくさそうに顔をしかめて言った。 女は車の後部に回ってトランクを開け、蔦山さんに出るように促す。 その手には…手榴弾…? 「走って。」 と言うなり、女は甲高い音を立てて口でピンを抜き、それをトランクに放り込むと走り出した。