目的地手前で女は車を停車させた。
道路左いっぱい、歩道すれすれまで車を寄せ、ハンドブレーキを引くと、
「私はここにいるから。」
そう言って、1.5cm四方の黒い小さな箱を差し出した。
「ホントに一人で行かせるのかよ!?」
ブツブツ言いながらも、その盗聴器(多分)を上着のポケットに忍ばせ車を降りた。
何台も積み上げられた車の壁がいくつも聳えた立ち、その壁に囲まれるようにして存在するだだっ広いスペースの中央で、蔦山さんのミニはすでに俺の到着を待っていた。
日も落ちて、薄暗闇に浮かび上がる、グシャリと潰れた無数の車のオブジェは気味悪く映った。



