核兵器受取を阻止できなかった谷口達は、取引現場の港から走り去ったアルミの大型トラックを尾行していた。
「どこ行くんすかねぇ。」
尾行中のトラックから目を離さず、運転手の睦月が溜め息交じりに助手席の谷口に問う。
「そらぁ発射基地だろうよ。」
谷口は面倒くさそうに横目で睦月を見やって答えた。
「そんなもん、本当に存在するんすか?」
そんな谷口の態度などお構い無しに、さらに睦月は無駄な質問を投げ掛ける。
「多額の軍事資金が、でたらめな施設運営費名義で消えてるんだ。どこぞやにせっせと秘密基地こさえてても別に驚かないさ。」
そんなことより尾行に専念しろと言わんばかりに、冷ややかに谷口が答える。



