ロシアンルーレット【コミカルアクション】

 盗んだ男は素知らぬ顔で、『俺、もう作業終わったから、これ貸してやるよ。』とでも言ったんだろうか?偽善者きどりで、本来その男の物だったドライバーを、そっと作業机の上に置き、出来上がったスライド式ブックスタンドを持ち、そそくさとその場を立ち去った。


 確かに…立ち去ったその男の顔には見覚えがある。


 けど、どこで会ったのか、全く思い出せない。


 役立たずのフニャフニャ脳みそめ。


「見覚えはあるけど、誰だったかは思い出せない?」


 見透かしたようにチワワくんが言い、また悪戯っぽく微笑んだ。


 ムッとして、黙り込む俺。