ロシアンルーレット【コミカルアクション】

「目の前に銃口突きつけられて、冷静になんかなれるかよ!」


 腹立たしげに言い返すと、兄貴はフッと笑みをこぼし、まるで上から見えない糸で引っ張られたかのように、スッと立ち上がり、数歩歩いた先にあるテーブルの上に、俺の銃をコトッと置いた。


 そしてそのテーブルを囲むように置かれた、コの字型ソファーの端にゆったりと腰を下ろした。


「これで…落ち着いて話せるか?」


 魅惑の笑みを浮かべるその人は、その歩き方、仕草など、どれをとっても完璧なほど美しく、本当に俺と血を分けた兄弟なのかと疑うほどだった。


 俺は、手刀をくらった前腕をさすりながらのそのそと起き上がり、ふて腐れながらも、テーブルを挟んで兄貴と対面するようにソファーに腰掛けた。