井戸につくとまずオオカミは水をすごい音をたてて飲み始めた。

ボクも飲もうと思ってたけどその飲みっぷりと例えようのない音のせいで飲む気が失せた。

「・・・お前飲まねぇの?」

「うん。ボクはまだいいや・・・。」

喉も乾いてなかったし、少しコケの生えたような井戸の水を飲むのに抵抗があった。

このオオカミ、そぉいや名前なんてゆうんだろう。

「ねぇねぇ、キミ名前なんてゆうの?」

「あ?オメェ人に名前聞く時は自分から名乗るもんだろ!」

「つか君人なの・・・?」

「失礼なヤツゃなぁ。悪魔でも人間よりは何十倍も強いんだぜ!!」

・・・まぁ見ため的にガッシリした肉付きに魔物臭い体臭からすれば人間じゃないよな・・・

「ボクは・・・」

そう言えば名前、わからないんだっけ・・・
「ボク、名前・・・わからないんだ・・・」
変なオオカミみたいなヤツの顔を見るのが怖くてボクは下を向いていた。

「そっか・・・お前、だからココ来たんか。」

「え!?」

このオオカミ、なんか知ってる!!!

「ねぇ!!なんでボクここにいるの!?なんで記憶がないの!?」
ぼくはオオカミにしがみついて何度も同じ質問を繰り返していた。
「落ち着けや・・・」
「!!!」

ボクは我にかえったかのようにハッとした。
オオカミはボクの顔をなぜか悲しむように見ていた。いままでとは違く、冷静に話した。
「哀れなヤツだな・・・。自分でも気付いてなかったんか・・・。」

「え?」