みんなは…この辛さを、この苦しみを、この悲しみを分かってない。
私には生まれつき、人より優れた記憶能力がある。
一度見たもの、聞いたこと、やったこと、あったことは…永遠に忘れない。
そう、‘永遠’に。
それは、好都合であり、不都合だ。
教科書は一度読めば覚えられる。
だから勉強はみんなより楽だし、成績も上の方だ。
友達と遊んで楽しかったことや、誰かに言われた嬉しかったことも、ずっとずっと…残ってる。
だけど、時には悲しいことや、忘れたいことがある。
みんな…あるでしょう?
ない人なんて、いるわけがない。
そんなとき、私は忘れることが出来ないのだ。
いくら忘れようとしても、考えないようにしても…無理な話。

