『今夜が峠』 先生の言葉が頭の中をぐるぐる回る…。 もう、颯矢はいなくなっちゃう? 「ねぇ…颯矢、」 私はピクリともしない颯矢に語りかける。 なるべく、震えないように。 なるべく、泣きそうだと悟られないように。 「覚えてる?今までのこと。私は全部覚えてるよ…覚えてるんだよ」 一緒に笑って。 一緒に怒って。 一緒に泣いて。 一緒に喜んで。 「初めて病気のこと聞かされたときのこと…覚えてる?」 あれは確か…学校の検査で引っかかり、念のためと病院に行ったんだよね。