夜七時頃、颯矢の病室に訪れた私は、目の前の光景に驚愕した。




「ゴホッ、ハァ、オエッ、ゴホゴホッ、うっ」



「…颯矢!」



颯矢はベッドで苦しそうに丸くなっていた。


私は素早く颯矢のもとへ駆け寄り、背中をさする。



「颯矢!颯矢!大丈夫!?」



初めてだった。

今までは、全然本当に病気なのかってくらい元気で、ただ入院していただけだった。


いつ来ても、いつものように優しく微笑んで、「会いたかった…」と言う颯矢。



私が必死になりながら声をかけると、こちらを振り向き、苦しさを押し込めるようにして笑った。


「大丈夫っだから、な、ゴホッ、ナースコ、ル」


ゆっくりと喋る颯矢の声に耳をかたむける。