君は、病気でした。



何十万人に一人と言われる難病で、お医者さんからは治療法がないと言われた。


この世界…こんな広い世界の中で、選ばれたのは君だった。




私は…諦めなかった、最後まで。


だって私が諦めたら…終わってしまうような気がしたから。



颯矢がいなくなるなんて、考えなかったんだ――













私はその日、いつものようにいったん帰り、また夜に来ると約束していた。



「颯矢、颯矢の大好きな桃買ってき……」


バサッ


私の手から…スーパーの袋が落ちた。