目を瞑っていると、手に何かが乗る感覚がした



そして先輩の冷たい指が、私の手を包みこみ

手に乗っている何かを、そっと握らせた










「目、開けていいよ」



目を開け、手をゆっくり開くと

そこには、1つのキャンディーが乗っかっていた








「あの…、これ……」





「苺ミルク味だよ。


バレンタインのお返し。

こんなので、ごめんね」









ホワイトデーには

もう卒業してるからさ。




そう続けた、先輩



もうすぐいなくなってしまう

今さらだけど、悲しくなった










だけど、




オレンジ色の

この教室で


先輩と過ごした

この時間は



夢なんかじゃない







先輩からもらった

苺ミルクキャンディーを


そっと握りしめた