恋愛日和―愛してるの意味-

『――5年後、また会おう。
 あの……初めて出会った、学校の中庭のソメイヨシノの下で。
 お互いがお互いを思い続けていれば、必ず会える。』

必ず――か。世の中に絶対など有り得ない、…と、
まだ若い私は知る由も無かった。
違う時を歩み出せば、違う世界が築かれていく。
一ヶ月に一度の手紙が、二ヶ月に一度、
三ヶ月に一度と減っていき、
最終的には音信不通になってしまった。

アイタイ、サミシイ、今何ヲシテルノ?

そんな疑問と共存してゆく毎日は、
例えるならば生き地獄のようで……
私の精神は日に日に病んでいった。
そして……、逃げ出してしまったのだ。
彼とは終わったのだ、そう自分に言い聞かして――。

高校卒業後、私は大学には行かず今の就職先に入社した。
ごくごく普通の事務員で、可も無く不可も無く
平凡な日常生活が私の目の前に広がる。
平たく、何処までも真っ直ぐに枝分かれしていない
一本のレールは、非常に味気ないもののように
見えるかもしれないが、……今の私には一番必要なことなのだ。
その過程で、これまたごくごく普通の今の彼氏と出会い…
電撃的な恋愛をするわけでもなく
3年という月日を共に過ごしてしまった。
彼には悪いが、結婚する理由が無い。
――結婚しない理由なら…存在する、が。


だけど、――。


「……明日、明日まで待って。」
「は?」
「……明日まで、その答え待ってって言ったの。」


明日で、5年。約束の日がやって来る――。