過ぎ行く時間と移ろう季節。
私は…取り残されたまま、大人になった。

だから

あの人との約束でさえ、未だに鮮明に輝き続けている。

…明日で…5年。

貴方は今、何処で何をしてますか?
まだ、私を愛してくれていますか?



――最後に私に触れてくれたその指先は、今も……、
私の思い出だけを纏い続けていて欲しい。
願わくは、もう一度会いたいデス。


「…なぁ、俺達…そろそろ結婚――。」
「お断りします。」

記念すべき100回目のプロポーズに
私は無造作に伸びた眉毛を整えながら即答した。
無論、今の私にとって最もどうでもいいことであり
決まりきった答えなので相手の顔を見ることすらしない。
そんな私の態度に…
拗ねた子供のように背中を向ける彼は
私より7つ年上のボーイフレンド。
付き合って3年。
――確かに、時期的にはいいタイミングなのかもしれないが…。

『…5年後、またココで…。』

「――お前さ、他に好きな奴でも居んの??」
「えっ?!」


余りにも唐突かつ、図星に近い部分を付かれ
私の返事は上ずってしまった。
その動揺は、持ってた剃刀でものの見事
右の眉毛半分をそり落としてしまう勢いで
次の瞬間私の悲鳴が木霊する。
が――、彼は私の顔をじーっと覗き込んだままだ。
その視線から、彼は私の否定の声を待っているようで…
私はバツが悪そうにそっぽを向いてしまった。

「ぁっ、お前なんで目逸らすんだよッ。
 ――マジに、好きな奴いんの?」
「――違うよ。…そんなんじゃないの。……。」