「ほら、手。」 「え?」 「え?じゃなくて手かせ。足痛いだろ?」 軽くひねったこと、気付いてたんだ…。 「いっ、いいよ!」 手なんて繋いだことないし。 「いーから。」 そう言ってあたしの手をとり、陽生は歩き出す。 ゆっくりゆっくりと。 隣に並んで歩けるなんて、いつぶりだろ。 手…あったかい…。 陽生の顔を盗み見ると、自然と頬が緩むのを感じた。 「なにニヤケてんの?」 そう言って意地悪そうに微笑む陽生。 「なっ、なんでもない!」 こんなやりとりができるなんて、想像もしなかったよ。