私はハルキに対して激しい感情を抱いた事が無い。
喜怒哀楽、全ての感情に言える事だけど……逆にそれが心地良かったの。

例えるなら……私はペットショップで売られている魚。


本当は大きな海で自由に泳ぎたい。
でも………もう、戻れない場所まで来てしまった。
けして叶う事の無い願いを抱きながら苦しみ生きていく事を選ぶのか――。
それとも自分を大事に慈しんでくれる飼い主の【水槽】の中で生きていくのか。


妥協…という言葉を使う事がハルキに対して失礼、だとも思った。




でもね――。



私は妥協する事ですら出来ないくらい雁字搦めになっていたの。
それを解いて今の安らぎを与えてくれたのは間違えなくハルキだ。



だから、彼が私と結婚したいと望んでくれた事が本当に嬉しかったんだ……。








この気持ちだけは嘘じゃないから……ね、ハル―――。