本当はもっと早くに確認すべきだった。
何の確証も無いのにアカネが市内の大学に行くと決め付け、今日を迎えたのは私の失態。
ショックを受けるなんてお門違いだと頭では解ってるのに感情が伴わない。

「ぇ…何で?…。」
「商船を受けたくて。だけど、私の頭じゃ何処も難しくてさぁ…。」
「商船…。アカネ……船に興味あったんだ……。」


――全然知らなかった――。


「…ずっと迷ってたんだけど決心ついたから。」
「…決心……。何だ…そーいう事か…。」


乾いた笑いが零れた。
彼女の決意とはこの事を意味していたのだ。
…だとすれば、全ての辻褄が合う。
私達の関係を無理矢理終わらせずに自然消滅を計るわけね。
……何て…卑怯なの。

私が傷つく姿が見たくないから…。
泣きじゃくる姿が見たくないから…。
ハルは逃げるんだ。

「…そんな事…、させない。」
「…アキ?」
「…っ!!私は絶対に別れないからっ!……私はっ、…私はっ!!」