「…佐倉、さん。」
「何?」
「……私と、友達にならない?」

私は意を決して言葉にした。
不器用な性格上、上から目線に近い誘い文句に泣けてきたが後には退けない。

「ぁ、ダメ…かな?」

私は強制じゃないよ…と伝えるために付け加えた。
すると彼女はきょとんとして呟いたのだ。
「私達、友達じゃなかったの?」
「ぇ?…ぁ…。」
「これからも宜しくね、アキ。」

――アキ――。

彼女は確かに私の名前を呼んだ。
私は死ぬほど嬉しくて、照れくさくて……。

春夏秋冬、過ぎ行く季節を彼女と2人で歩き出したのだ。




「……本当、太陽みたいに笑う子だったな。」

私はアカネとの出会いを思い出し苦笑を浮かべた。
ゼミまで少し時間があったので大学の女子寮近くにある桜並木を1人歩いていたのだ。
桃色の鮮やかな花びらが風に揺れ…
私は空に向かい語りかけた。

――ハル、また、春がきたよ。


寂しさを隠す術など知らない。
私はただ…現実から目を反らし逃げ出すことしか出来なかった。