何食わぬ顔で輪の中に溶け込むアカネを私はきょとんとした表情で見つめていた。


「バカだなぁ。どー考えたって冗談としか取らねぇだろ、あの場合は。冷やかされるくらいは予想してたけどな。」


…流石ハル様。



その日の帰り道、飄々とした彼の言葉に私は参りましたと頭を下げたのだった。


「まぁまぁ。私的には佐倉とラブラブな方が面白いしねぇ。」
「確かに面白いっちゃ面白いけど…。」
「……あんた達、さっきから何気に酷いこと言ってるわよ。」
「あははっ、ぁ、ほらあきっぺ!イチゴのミルフィーユが並んだよっ。」
「うそっ!!」

私は待ってましたとばかりに駆け出した。
後々考えれば今の私の行動はまるで犬のようだ。
だけど幸いにも私が呟いた独り言は空の彼方へと忘れ去られていた。





その日の帰り道。


道路を挟んだ先に進学塾が見えた。