「まぁな。正式な発表はまだだけどほぼ決まり。1ヶ月通い詰めたからなぁ…。報われないと切れるっつーの。」
「…へぇ。頑張ってるんだ。」

付き合い始めて知った事。

ハルキは意外にも私の近くに存在していた。
同じ学科に通う同級のクラスメイト…とまではいかなかったが、隣のクラスに在籍してて運命的と言えば運命的。

そして彼には【夢】があった。

「…沢田ゼミ、だったよね。行きたがってたの。」
「あぁ。あのじーさん冴えない風貌してるけど物理学の権威だからな。」

彼は子供のように目をキラキラとさせて語り続けた。
私には眩しすぎる。
夢や希望なんて遙か昔に捨ててしまった。
アイツを失った虚無間を埋めるためだけに私は逃げるように生きてきたんだから。

「……ハル…。」

無意識のうちに【アイツ】の名前を呟いた。


「何?呼んだ?」

…同じ名前…。

卑しくて軽薄な私が私利私欲のためにハルキを選んだ事を思い知らされる瞬間だった。
【ハル】と言う人物に愛されたい。

私は何処まで堕落すればいいのか――――。
今はまだ解らずにいた。