私の好きな彼女、私を愛した彼氏

「うん…。ちょっと昔の事を思い出してね。」
「ふーん。」

興味があるのか無いのか…。
私の意味深な発言にも全く関心を示さない彼の様子が笑えてくる。


大学3年の春。
彼…ハルキに出会って1年半が過ぎようとしていた。
合コンで知り合いその日のうちに体を重ねてしまった私達の関係は非常に【軽い】ものだったけど、意外と相性は良かったのかもしれない。
束縛をせず互いの意志を尊重し常に時間を共有するわけでもない。
近いようで遠い存在。
セフレじゃないの?と聞かれれば否定できないくらいの感覚で付き合えた。

…私には、丁度良い温度だった。


アキとして生きていく事を決めた時に…私は感情を手放した。
愛おしい人を想って涙する夜なんて二度と訪れない。



「ぁ、アキは研究室もう決めた?」
「へ?何よ唐突に…。まだだけど何で?締め切り12月の末でしょ?3ヶ月も先の話じゃん。」
「んな適当な考えじゃ希望のゼミに配属出来ないぜ?将来を見据えてしっかり考えないとな。」
「偉そうにぃ。そー言うアンタは決まったの?」

私はベッドに背中をもたれかけるようにして両膝を抱えた。